こんにちは、
理系ソムリエのシゲです!
前回は『果実系・ナッツや種子系・特殊系』のリキュールについて説明しました。
今回は『薬草・香草系』のリキュールについてです。
リキュールの中で最も歴史が古く、当初は薬として用いられていたものが多いです。
数十種類の薬草・香草・スパイスを組み合わせて造られ、効能を重視した分、苦味の強いものが多いです。
薬草・香草系
⑫アブサン
1790年にフランス人医師、ピエール・オルディネール博士の手によって誕生した酒。
メインに使用するニガヨモギに含まれるアブシンソールという精油が神経を冒すと言われ、1915年フランスで発売禁止となり、世界中から姿を消した。
1981年にWHOにより身体に害の無い基準が定められ、再びアブサンが造られるようになった。
ピカソやゴッホ、ヘミングウェイなど、数々の偉人たちを虜にした酒だ。
⑬イエガーマイスター
1934年にドイツで開発された薬用酒で、『猟師頭』の意味。
野蛮な『猟師頭』がいつものように狩りに出かけると、現れた牡鹿の角に精霊を見たことをきっかけに、後に聖職者になったという物語を由来している。
56種類もの香草やスパイス、果実を原料にし、オーク樽で9ヵ月以上熟成させる。
⑭アンゴスチュラ・アロマティック・ビターズ
1824年ドイツ生まれのフランス人軍医、ドクター・シーガードが、南米ベネズエラ・アンゴスチュラ町の病院で、軍人の健胃強壮剤として造った。
ラムをベースに、リンドウの一種ゲンチアナやアンゴスチュラ樹皮、数種類のハーブ・スパイスを配合してある。
苦味が強いので、カクテルには1~2滴加える程度で使用されている。
⑮カンパリ
1860年イタリアのミラノで、ガスパーレ・カンパリによって生み出された。
カンパリはオレンジの果皮やコリアンダーなどの、30種類以上の原料が使われ、詳しい製法は門外不出となっている。
⑯スーズ
1889年フランス人のフェルナンド・ムローと、その友人のアンリ・ポルトによって開発された。
ほのかな苦みとバニラの甘い香りが調和した味で、ピカソも飲んでいたと言われている。
日本では『黄色いカンパリ』と親しまれ、マイルドな味わいで人気がある。
スーズとはムローの義理の妹のあだ名。
⑰シャルトリューズ
1764年フランスにあるシャルトリューズ修道院によって原形が造られた。
ヴェール(緑、アルコール55度)は、190種もの薬草やスパイスを配合したスパイシーな味わい。
ジョーヌ(黄、アルコール40度)は、ハチミツを配合し、まろやかで上品な美味しさから『リキュールの女王』と称されている。
レシピはカンパリ同様、今もなお門外不出となっている。
⑱パルフェ・タムール
フランス語で『完全なる愛』という意味があり、貴族の間で媚薬の効果があると信じられて来た。(媚薬とは、性欲を高める薬、惚れ薬のこと)
紫色はニオイスミレ、他にバラ、アーモンド、バニラ、オレンジの果皮などが使われ、『飲む香水』と言われている。
⑲ドランブイ
ドランブイとはゲール語で『満足できる酒』という意味。
スコットランド王家に受け継がれて来た秘酒は、熟成されたスコッチとハーブや蜂蜜を配合して造られる。
⑳ベネディクティン
現存するリキュールの中で最古の歴史を持ち、27種類の薬草やスパイスを原料に、非常に複雑な工程で造られている。
1510年に、フランスのベネディクト派修道院で薬として開発された。
ラベル表記の『DOM』は、『Deo Optimo Maximo(デオ・オプティモ・マクシモ)』の略で、『至善至高の神に捧ぐ』の意味。
まとめ
いかがでしたか?
まだまだたくさんのリキュールとストーリーがありますが、また別の機会に書こうと思います。
今宵もあなたに最高の一杯を!