こんにちは、
理系ソムリエのシゲです!
世界三大酒精強化ワインと言われているスペインの『シェリー』、ポルトガルの『ポート』と『マデイラ』。
それぞれどのような違いがあるのか、いまいち区別がつかないですよね。
今回はポルトガルの『ポート』と『マデイラ』について簡単に説明します。
ポートとは
ポルトガルの北部、ドウロ川流域で造られる酒精強化ワインの事です。
発酵中の液を抜き、アルコール度77%のグレープスピリッツ(ブランデー)を添加して造ります。
最終なアルコール度数は19~22度までに定められています。
ポートのタイプ
ポートのタイプは、一般的に4つに分類されています。
①ルビータイプ
黒ブドウから造られるルビー色のポート。
平均3年間の樽熟成後に瓶詰めされ、以下の二つに分けられる。
●ヴィンテージ・ポート
その年の作柄が特に優れたブドウから造られる最高級品。
収穫から2年目の7月初めから3年目の6月までにろ過せずに瓶詰めされる。
澱があるので、デキャンタージュを必要とする。
●レイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポート(L.B.V)
ヴィンテージには達しないが、それに続くと思われる作柄のブドウで造られる。
収穫から4年目の3月から9月に瓶詰めされる。
収穫年と瓶詰年の表示義務がある。
②トウニータイプ
ルビータイプを熟成させたトウニー色(黄褐色)のポートで、以下の二つに分けられる。
●熟成年数表記トウニー
複数年の長期熟成させたトウニーをブレンドしたもの。
平均熟成年数が表記され、10、20、30、40年超の4種類がある。
濾過してから瓶詰めするため、デキャンタージュは必要ない。
●コリェイタ
単一年のブドウを長期熟成させたトウニー。
7年後から瓶詰めを行い、収穫年と瓶詰年の表示義務がある。
③ホワイトタイプ
●ライト・ドライ・ホワイト・ポート
白ブドウを原料とし、低温発酵で通常よりも発酵を長くしてからグレープスピリッツを添加して造る。
比較的に辛口で、例外的に最低アルコール度数が16.5度まで認められている。
④ロゼタイプ
新たに認定された、フルーティーな早飲みタイプ。
マデイラとは
首都リスボンから南西1000㎞離れた大西洋上に浮かぶ、マデイラ島で造られる酒精強化ワインの事です。
発酵中の目的のタイミングで、アルコール度96%のグレープスピリッツ(ブランデー)を添加して造ります。
最終アルコール度数は17~22度までに定められ、3年以上の熟成義務があります。
マデイラは一定期間落ち着かせた後、温めて熟成させるのが特徴です。
一つは『カンテイロ』と呼ばれる、太陽熱を利用した天然の加熱方法です。
平均30度に近い室温の倉庫に樽が並べられ、長い年月をかけて熟成させます。
単一収穫年が表示されたヴィンテージワインや、10年、15年熟成などに用いられます。
2つ目は『エストゥファ』と呼ばれる、人工的な加熱装置を用いて加熱します。
35~50度の温度で最低3ヵ月間加熱後、3~4週間かけてゆっくりと冷却されます。
3年熟成などのスタンダードなものに用いられることが多いです。
マデイラは新樽による木の風味を与えないために古樽を使用します。
古樽は木目が詰まっている為、水分のみが蒸発し、ワインの成分やアルコールが濃縮されます。
マデイラのタイプ
マデイラは6つのタイプに分類され、いずれも品種名を示しています。
①セルシアル
比較的冷涼な気候の地域で栽培される白ブドウ。
華やかな香りで、酸味を生かした辛口タイプ。
②ヴェルデーリョ
涼しい北部地域で栽培される白ブドウ。
味わい豊かな中辛口タイプ。
③ボアル
温かい南部地域で栽培される白ブドウ。
芳醇な中辛口タイプ。
④マルヴァジア
海岸沿いの暑い地域で栽培される白ブドウ。
リッチで濃縮感のある甘口タイプ。
⑤ティンタ・ネグラ・モーレ
島のほとんどの地域で栽培され、収穫量の最も多い黒ブドウ。
3年熟成タイプに多く使用され、多品種とのブレンドに用いられることも多い。
辛口から甘口まで幅広い味わい。
⑥テランテス
生産量が極め少ない白ブドウ。
非常に繊細で、ヴェルデーリョとボアルの中間。
まとめ
いかがでしたか?
両者ともに、デザートやチーズと共に食後酒として楽しむことができます。
是非試してみてくださいね。
今宵もあなたに最高の一杯を!